今日は斜里岳に登ろうと決めていた。
昨晩降った雨はすでに上がり、天気は薄曇り。
このくらいのほうが、登山にはいいかもしれない。
手元のガイドブックや島根くん、元ヘルMくんの情報を総合すると、斜里岳は
・往復６時間あれば十分
・滝の眺めがすばらしい
・羊蹄山よりははるかにラクな山
……であるはずだった。
手元のガイドブックでは山の技術度は、３段階中の１。
つまり一番易しいという評価。
「危険箇所もなく初心者でも安全に歩けるコース」とある。
ところが、
ところが、ところが！！！斜里岳は、わたしがいままで登ってきた山の中で、
一番難しかった山と断言できる。
滑りそうな道、転びそうな道、落っこちそうな道が極度に苦手なわたし。
登りに選択した旧道コースの途中には、
足がすくんで動けなくなるような箇所がいくつもあり、
そのたびにわたしは「おかあさーん、助けてーーーーー｡･ﾟ･(ﾉД`)」と半べそをかきながら、
両手両足を駆使し、地面に這いつくばって前進したのであった。
川沿いに進む旧道コースは、渡渉が多く、滝の横の崖をよじ登る箇所も多い。
島根くんからは「靴が濡れるのは覚悟でね」といわれていたのだが、
前日の雨のせいで、膝まで浸かって増水した川を渡らなければならなかった。
渡渉に慣れていないわたしは、おっかなびっくり恐る恐る進む。
滑りやすい道。一歩足を滑らせたら、滝つぼへ一直線。
何度となく引き返そうかと思ったのだが、
この道は登るより下るほうがはるかに難しいだろう。
登り続けていれば、道は緩やかな新道コースと合流し、
そこから下山することができる。
もし、今日の天気が青空で、誰かと一緒に登っていたら、
こんな不安な気持ちにはならなかったはずだ。
単独行。ケータイは圏外。曇りときどきガス。増水した川。急な崖。
すべてが、わたしの気持ちを重くした。
だいたい、登りはじめた時間も遅かった。
登山口を出発したのは9:44。
せめて8:30くらいには出発しておくべきだった。
でも、一歩一歩確実に前進したおかげで、旧道コースはやがて新道コースに合流した。
そこからは比較的傾斜がなだらかになり、気持ちにもゆとりができた。
馬の背と呼ばれる場所を過ぎてやや下り、
そこからまた一気にガレ場を登ったところに山頂はあった。
山頂着は13:28。清里町のHPには登り約200分とあるので、30分オーバーくらいの計算だ。
わたしが山頂で昼飯を食っていると、あとから熟年のパーティが登ってきた。
彼らは新道コースを登って、旧道コースを下りるという。
わたしは「旧道コースは滑りやすくて危ないですよ」と言ったが、
リーダー風の人物が「大丈夫、大丈夫」と言ったので、それ以上は何も言わなかった。
また、山頂ではるか下の斜面に熊を見つけた人がいて、
「あそこに子熊がいるー」「あら、かわいい〜」などと話していたが、
子熊には親熊がつきもの。登山道で遭遇してはシャレにならないので、
わたしはその姿を確認することもせず、とっとと下山することにした。
14:00下山開始。新道コースは緩やかといっても、
ぬかるんで道が荒れているところもあり、やはり気は遣った。
それでも登りよりはだいぶハイペースで下山。
今日泊まる宿の夕食に間に合うためには、
16:45にはクルマに乗っていなかればならなかったのだが、
登山口に着いたのは17:00、出発は17:20になったので、
宿に到着が遅れる旨電話を入れ、一路岩尾別を目指した。
斜里を過ぎたころから空は完全に雨模様になり、
知床半島に入ってからはどしゃぶりの雨になった。
コンビニに寄ったり、ガソリンスタンドに寄ったりしていたので、結局宿に着いたのは19:30。
着くやいなや「とっとと飯を食え」という感じだったので、
汗まみれのまま早々にホッケ定食をかきこみ、風呂に向かった。
岩尾別YHは“北海道３大ばかユース”と聞いていたので、
礼文の桃岩荘のようなノリを期待していたのだが、
特別なノリは感じられず、けっこうあっさりした対応だった。
衝撃的な異臭を放つポットントイレに閉口しつつ、
ほかの宿泊客とほとんど会話を交わすこともなく、
大量の洗濯を終えて、わたしは床に就いた。
※斜里岳登山道の様子は、ほかの人のHPも見てみてください。
人間が登っている写真を見ると、急な感じがよくわかります。
絶対に初心者向きじゃないよ、ここ。(ﾟДﾟ#)ｺﾞﾙｧ!!
http://homepage2.nifty.com/win21/yama/20070702/20070704.htmlhttp://yamanobori.at.webry.info/200607/article_13.html↓上左・羽衣の滝、上右・万丈の滝。滝の横を涙目で登ったわたし。
ガイドブックには「危険箇所にはロープがあって安心」と書かれていたが、
実際にロープがあったのは２箇所ほどで、すでにロープが切れている（！）ところもあった。
下左・ガレ場を登りきったところが山頂。下右・山頂。
